放課後子ども教室手引き - Inagi€¦ · 放課後子ども教室 Q&A (10p~11p) 放課後子ども教室・児童館・学童クラブの違いは?(12p) 令和2年度放課後子ども教室登録届
CH peg pocketbook 2 - Cardinal Health · 2020-05-14 ·...
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PEGスキンケアポケットブック
お問い合わせ先日本コヴィディエン株式会社Tel:0120-917-205
mt-ef-npkb1803.pdf.es
cardinalhealth.com
執筆山田 圭子(一般社団法人 愛生会山科病院 入退院管理室 退院調整看護師)
監修伊藤 明彦(独立行政法人 国立病院機構 東近江総合医療センター 消化器内科医長)西山 順博(医療法人 西山医院 理事長)
みなさんは胃瘻患者さんに接する時、自信を持って胃瘻のスキンケアに携わっていますか。本書は “このスキントラブルはどうして起こるのだろう…” “このケアを続けていていいのかな…” と素朴な疑問をお持ちの方のための必須アイテムです。我々が6年間で患者さんと関わる中で考え抜いた胃瘻スキントラブルの原因と対策をわかりやすくまとめました。 実際の症例を通して、 スキンケアの基本からトラブル時の秘訣を “こそっと”お教えします。胃瘻患者さんのQOL向上を目指して頑張るあなたのポケットに入れて、 いつでもどこでも活用してください。
【著者紹介】愛生会山科病院 山田圭子日本静脈経腸栄養学会認定栄養サポートチーム専門療法士 「NST看護師」PEG・在宅胃瘻研究会認定 胃瘻管理者・胃瘻教育者日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡技師・看護師
本書は皆様が実践的に使用していただく事を意識し1. PEGの基礎知識 2. トラブルシューティング 3. 症例の3部で構成しました。 2と3では原因と対策を分けて掲載しており、それぞれにチェックボックスを設けています。(※ 3では著者が実際に経験した症例の原因と対策を掲載しております)
それぞれのアイコンの意味は下記の通りです。 □:原因 ○:対策■:症例での実際の原因 ●:症例で実際に行った対策
皆様の現場で、2で原因と思われる項目の“□”にチェックを入れていただき、 それに応じた対策を行っていただく事で、 スキントラブルが改善していきます。 また各種トラブルシューティングの原因と対策を1枚にまとめたCHECK SHEET(本書最終ページをご覧ください)を弊社ホームページに掲載していますので、ダウンロードしご活用下さい。
本書の使い方
胃瘻スキンケア …………………………………………………………………… 2カテーテルの基本構造 ………………………………………………………… 3逆流防止弁の位置と接続チューブの種類 ……………………………………… 5スキンケアの基本 ………………………………………………………………… 6カテーテルと瘻孔 ………………………………………………………………… 81. 漏れ ………………………………………………………………………… 102. 発赤 ………………………………………………………………………… 193. びらん・潰瘍 ………………………………………………………………… 244. 肉芽 ………………………………………………………………………… 285. 硬結 ………………………………………………………………………… 34チューブ管理 …………………………………………………………………… 36
URL: http://www.cardinalhealth.jp/pegskincare
はじめに PEG スキンケア ポケットブック
2 1
胃瘻スキンケア カテーテルの基本構造
PEG SKIN CARE CATHETER
胃瘻は、なんらかの障害で口から食事が十分に摂れなくなった方の栄養管理のツールです。患者さんにとって胃瘻は造設がゴールではなく、療養生活の始まりなのです。療養生活の中で患者さんのQOL向上を図るためには、胃瘻患者さんに関わる全ての人が胃瘻の構造を理解し基本ケアを毎日続けていくことが大切です。
胃瘻カテーテルの種類には、体外の形状からみたボタン型とチューブ型、胃の中の内部ストッパーの形状からみたバルーン型とバンパー型があります。
スキンケアを始める前に必要な情報をおさえておきましょう。
患者情報1. 病名・基礎疾患2. 意志疎通の有無3. 麻痺や拘縮、 変形や円背の有無4. 人工呼吸器管理の有無5. 嚥下機能6. 胃食道逆流の有無7. 体重・栄養状態の把握8. 経口摂取の有無と内容9. 栄養剤の形態 (液体・固形)10. 投与カロリーの把握
胃瘻情報1. 造設日・造設施設・造設医・造設位置・造設キット (胃壁固定の有無)2. 胃内視鏡所見 (食道裂孔ヘルニアの有無など)3. 最終交換日・交換施設・次回の交換予定日4. 現在のカテーテルの種類と規格5. 瘻孔長とシャフト長
長所1. バルーン内の固定水を抜いて、 抜去するので交換が容易2. 目立たず日常生活の邪魔にならない3. 逆流防止機構がある
短所1. バルーンが破裂したり、 固定水が 抜けることがあり、 定期的な 固定水の入れ替えが必要 (1回/週)2. 短期間 (約1ヶ月)で カテーテルの交換が必要3. シャフト長の調整ができない4. 接続チューブの接続に慣れが必要5. ボタン・バンパー型に比べて、 スキントラブルが多い。
長所1. カテーテルが抜けにくく、 交換までの期間が長い (4~6ヶ月)2. 目立たず日常生活の邪魔にならない3. 逆流防止機構がある
短所1. 交換時に痛みがある2. シャフト長の調整ができない3. 接続チューブを用途別に 使い分ける必要がある。 減圧用・持続投与用 (液体)・ ボーラス投与用 (半固形・フラッシュ)
体外外部ストッパー
内部ストッパー
腹壁
胃壁
胃内
ボタン・バルーン型
ボタン・バンパー型
体外外部ストッパー
内部ストッパー
腹壁
胃壁
胃内
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カンガルーボタンⅡ・エンドビブは外部ストッパーに逆流防止弁が位置する(キャップを開けると、 逆流防止弁がみえる)。 それ以外のボタン・バンパー型は内部ストッパーに逆流防止弁が位置する。※ カテーテルと接続チューブはしっかり接続してください。
長所1. バルーン内の固定水を抜いて・ 抜去するので交換が容易2. 栄養管の接続が容易3. 外部ストッパーの位置が動くので、 シャフト長の調節が可能
短所1. バルーンが破裂したり、 固定水が抜けることがあり、定期的な 固定水の入れ替えが必要(1回/週)2. 短期間(約1ヶ月)で カテーテルの交換が必要3. カテーテルが日常生活の邪魔になる4. ボタン型に比べ、 スキントラブルが多い5. チューブ内の汚染が起きやすい
体外外部ストッパー
内部ストッパー
腹壁
胃壁
胃内
長所1. カテーテルが抜けにくく、交換までの期間が長い (4~6ヶ月)
2. 栄養管の接続が容易3. 外部ストッパーの位置が動くので、 シャフト長の調節が可能
短所1. 交換時に痛みがある2. カテーテルが日常生活の邪魔になる3. ボタン型に比べ、 スキントラブルが多い4. チューブ内の汚染が起きやすい
持続投与用チューブ液体栄養剤を投与する際に使用するチューブです。
ボーラス投与用チューブ半固形状栄養剤等の粘度の高い栄養剤を注入する際に使用するチューブです。注入の負担を軽減する“ショートチューブ” も使用可能です。
減圧用チューブ逆流防止弁が内部ストッパーに有るタイプのカテーテルにて減圧を行う場合は“減圧チューブ” が必要です。
逆止弁の位置が外部ストッパーの場合 逆止弁の位置が内部ストッパーの場合
逆止弁 逆止弁
カテーテルの基本構造
CATHETER
チューブ・バルーン型
チューブ・バンパー型 接続チューブの種類
体外
腹壁
胃壁
胃内
外部ストッパー
内部ストッパー
逆流防止弁の位置と接続チューブの種類
POSITION & TYPE
逆止弁の位置により、 チューブを選択する必要があります。
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消化液や栄養剤の漏れからくるスキントラブルを予防するために、一番望ましいスキンケアは、シャワーと入浴です。 その際には瘻孔部にガーゼや保護テープは使用しません。
瘻孔部を弱酸性の石鹸を泡立てて洗い、微温湯で洗浄します。洗浄後は充分に水分を拭き取り、 自然乾燥させます。
入浴できない時でも、1日 1回は微温湯での洗浄が望ましいです。最も簡単に行えるのは、注入後にお口の周りを拭き取るように、 微温湯で濡らしたタオルやきりふきを使用しての洗浄です。
当院ではスキンケア後、瘻孔からの分泌物や少量の漏れに対して、外部ストッパーと体表の間に “Yパフ ” を挟みます。注入毎に交換するだけで、 瘻孔部の清潔を保てます。
ティッシュこよりを巻く場合は 2重 3重にしない方がいいでしょう。2重 3重と巻くことでカテーテルの無理な引っ張り状態をつくり肉芽形成を引き起こすことがあります。 Yパフは、ティッシュこよりにする手間や作製時の清潔さに欠ける点から考えだしたものです。百円ショップで購入できる使い捨ての化粧パフにハサミで Y字に切り込みを入れて使用します。脱脂綿に加工がほどこされ、 ほどよく分泌物や漏れを吸収してくれます。
スキンケアの基本
POSITION & TYPE
スキンケアの基本をマスターしましょう!込みを入れて使用します。脱脂綿に加工がほどこされ、 ほどよく分泌物や漏れを吸収してくれます。
造設直後のスキンケア当院では、瘻孔部の消毒は造設翌日までの2日間のみ行っています。造設3日目から抜糸までの1週間は、微温湯にて洗浄を行います。洗浄後は水分をしっかり拭き取ります。抜糸後はシャワーが許可され、瘻孔が完成される2週間後には入浴が許可されます。
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胃瘻とは胃壁と腹壁を癒着し形成させた瘻孔です。カテーテルは、外部ストッパーと体表の間に15mm程度のあそびがあり、自由に上下可動・回転ができ、腹壁に対して垂直であることが理想的です。
外部ストッパーと体表の間に余裕がない場合は、こよりなどを挟みすぎてカテーテルが外側に引っ張られないように、外部ストッパーを押し込み気味にしておくことが良いでしょう。
胃瘻が斜めに造設されていたり、接続チューブなどでカテーテルが腹壁に対して斜めになっている場合は一方向のみに圧がかからないようにカテーテルの固定を工夫しましょう。
カテーテルの無理な引っ張りが続くと、 引っ張れていた反対方向の瘻孔がめくれあがり、 肉芽形成につながります。
肉芽形成がみられる場合、注入時に接続チューブを肉芽の方向に倒し固定することが良いでしょう。
栄養剤の注入が終わった後に外部ストッパーと皮膚との接触位置を変えることで、長時間同一部位を圧迫・摩擦することによって起こる皮膚のびらん・潰瘍・壊死などの予防になります。
理想的なカテーテルと体表との距離
角度は90° 「あそび」は10~15mm
圧迫による胃潰瘍
接触性皮膚炎皮膚潰瘍
瘻孔を一定方向に圧迫する力
瘻孔がめくりあがることによる肉芽形成
無理な引っ張り
カテーテルと瘻孔
PEG SKIN CARE
カテーテルと瘻孔との関係を理解しましょう!
バンパー埋没症候群とは・・・カテーテルが上下可動や回転をせず、栄養剤が注入できなくなったら、バンパー埋没症候群を疑います。カテーテルの内部ストッパーが、長時間にわたり胃粘膜を圧迫し壊死を起こした後、胃壁内に埋没する状態です。瘻孔長に比べシャフト長が短かったり (栄養状態が改善して皮下脂肪厚が増した場合など)、カテーテルが常に引っ張られていたりすることで発生します。胃穿孔の可能性があるため、速やかに専門医に連絡を取りましょう。
ボールバルブ症候群とは・・・チューブ・バルーン型カテーテルで起こる現象で、バルーンが胃蠕動により十二指腸球部に逸脱し幽門を閉塞してしまうことが原因です。栄養剤は小腸へ注入できますが、胃液の流出が妨げられるため、瘻孔からの漏れで発見されるばかりでなく、大量の嘔吐で発症することもあり注意が必要です。外部ストッパーの位置確認 (シャフト長のチェック)を怠らないようにしましょう。
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原因 □ 大彎造設 □ 姿勢保持が困難である
原因 □ 便秘
原因 □ 唾液誤嚥によるむせ
原因 □ 胃蠕動低下
原因 □ 人工呼吸器装着
原因 □ 円背・拘縮・側彎
1. 体位による漏れ
2. 腹圧上昇
まず、漏れの性状を確認しましょう!漏れてくるのが、栄養剤なのか消化液なのかによって対策が変わります。栄養剤であれば、注入量やスピードの調整が必要ですし、胃液であれば胃酸分泌抑制剤や消化管運動促進薬の投与が有用です。尿検査で使用する試験紙でpHや糖の有無を確認する方法も参考になります。軽度の漏れには、 スキンケアの基本が重要です。
1. 漏れ
TROUBLESHOOING
対策 ○ ベットの30度以上のギャッチアップは避ける (起こしすぎない) ○ 姿勢保持の工夫 (右セミファーラー位) ○ 自立の患者の場合、 注入後30分は臥位姿勢をとる
対策 ○ 排便コントロール 水分の増量・水溶性食物繊維やオリゴ糖飲用の 投与・緩下剤・腹部マッサージ
対策 ○ 注入前の口腔ケア・口腔内吸引の徹底
対策 ○ 注入方法の確認 1. 注入前の減圧 2. 消化管運動促進薬の投与 3. 追加水の投与 4. 30分あける 5. 栄養剤の投与
対策 ○ バッキングを防ぐための人工呼吸器の設定確認 ○ 注入前の減圧 ○ 追加水注入後30分あけて栄養剤投与 ○ 外部ストッパーの押し込み固定
対策 ○ 腹圧がかからないように体位の工夫(起こしすぎない) ○ 注入前の減圧 ○ 追加水注入後30分あけて栄養剤投与
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1. 漏れ
TROUBLESHOOING
原因 □ 外部ストッパーと体表の間に余裕がない 原因 □ 栄養状態・全身状態悪化
原因 □ 対策を行っても難渋する場合原因 □ キャップを開けると栄養剤が噴き出す
原因 □ カテーテルが引っ張られている
3. 瘻孔部の圧迫虚血 5. 瘻孔開大
6. その他4. ボタン型の逆流防止弁の破損・つまり
対策 ○ 外部ストッパーと体表の距離を15mmに保つ ○ こよりやガーゼを挟みすぎて瘻孔を締めすぎない
対策 ○ 注入中止の検討 ○ 栄養評価 ○ 皮膚保護剤を使用して瘻孔を縮小させる ○ 持続的に減圧 ○ ウロストミーバックによるケア(ストマーケア)
対策 ○ 経腸栄養ポンプを使用し24時間での持続注入 ○ 栄養剤の固形化(粘度調整) ○ 抜去し、しばらくの間カテーテルフリーとし再挿入 ○ シリコーン製へ材質変更 ○ PEG-Jへの変更
対策 ○ 赤ちゃん綿棒でカテーテルを掃除する ○ 交換時期の確認 ⇒ 早めの交換 ○ 交換時期までは、 注入後30分以上接続チューブをはずさない
対策 ○ 瘻孔とカテーテルとの関係をスポンジを利用し垂直に保つ ○ 外部ストッパーを押し込み固定にする ○ カテーテルが引っ張れないように固定の工夫をする
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Aさん (100歳) 女性
症例 (漏れ)
TROUBLESHOOING CASE #1
原因 1. 体位による漏れ □ 大彎造設 □ 姿勢保持が困難である
2. 腹圧上昇 ■ 便秘 ■ 胃蠕動低下 ■ 唾液誤嚥によるむせ □ 人工呼吸器装着 □ 円背・拘縮・側彎
3. 瘻孔部の圧迫虚血 ■ 外部ストッパーと体表の間に余裕がない ■ カテーテルが引っ張られている
4. ボタン型の逆流防止弁の破損 □ キャップを開けると栄養剤が噴き出す
5. 瘻孔開大 □ 栄養状態・全身状態悪化
• チューブ・バンパー型シリコーン製カテーテル╱ 20Fr
瘻孔長:3.5cm╱シャフト長:4.0cm• 投与カロリー:800kcal• 体重:48kg• BMI:24.4
Before
注入後に少量の漏れは残るが、Yパフで対応できており、スキントラブルは認めない。
対策 ● 排便コントロール (マグミットとラキソベロンの併用) ● 注入方法の確認 1. 注入前の減圧 2. 消化管運動促進薬の投与 (ガスモチン) 3. 追加水の投与 4. 30分あける 5. 栄養剤の投与 ● 注入前の口腔ケア・口腔内吸引の徹底 ● 外部ストッパーと体表の距離を15mmに保つ ● こよりやガーゼを挟みすぎて瘻孔を締めすぎない ● 瘻孔とカテーテルとの関係をスポンジを利用し垂直に保つ ● 外部ストッパーを押し込みぎみに固定する ● カテーテルが引っ張れないように固定の工夫をする ● 胃瘻交換 (チューブ型で交換後、体重コントロールを行い ボタン・バンパー型シリコーン製カテーテル24Fr・4.5cmへ変更) ● 栄養剤の固形化 (カームソリッド:高粘度)
After
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瘻孔開大
Bさん (79歳) 女性
症例 (漏れ)
TROUBLESHOOING CASE #2
原因 1. 体位による漏れ □ 大彎造設 □ 姿勢保持が困難である
2. 腹圧上昇 □ 便秘 ■ 胃蠕動低下 □ 唾液誤嚥によるむせ □ 人工呼吸器装着 □ 円背・拘縮・側彎
3. 瘻孔部の圧迫虚血 □ 外部ストッパーと体表の間に余裕がない ■ カテーテルが引っ張られている
4. ボタン型の逆流防止弁の破損 □ ふたを開けると栄養剤が噴き出す
5. 瘻孔開大 ■ 栄養状態・全身状態悪化
• チューブ・バンパー型シリコーン製カテーテル╱ 20Fr
瘻孔長:1.5cm╱シャフト長:3.0cm• 投与カロリー:1,400kcal• 体重:38.5kg• BMI:16.4
Before 対策 ● 注入方法の確認 1.注入前の減圧 2.消化管運動促進薬の投与(ガスモチン) 3.追加水の投与 4.30分あける 5.栄養剤の投与 ● 瘻孔とカテーテルとの関係をスポンジを利用し垂直に保つ ● 外部ストッパーを押し込み固定にする ● カテーテルが引っ張れないように固定の工夫をする ● 注入中止の検討 ● 栄養評価 ⇒ 癌のターミナルステージ ● ウエハー状皮膚保護剤(プロケアー)を使用して 瘻孔を縮小させ、 すきまを粉状皮膚保護剤 (プロケアーパウダー)で埋める ● 漏れの初期の段階では、 体表と外部ストッパーの間にガーゼを挟み圧迫する翌日には、 外部ストッパーを押し込み、 固定をする ● 持続的に減圧を行う
瘻孔開大縮小し、漏れに伴う発赤改善している。
※ 漏れが多い場合は、ウロストミーバックによるケアを行う。
After
16 17
1. 漏れ
TROUBLESHOOING
ウロストミーバッグによる漏れの対応栄養状態不良、 全身状態悪化に伴い瘻孔は開大して漏れを伴います。まずは、 胃内の減圧目的で接続チューブをつなぎます。 瘻孔開大時には減圧を行っても、 瘻孔からのわき漏れが生じます。 そこで、 ウロストミーバッグの面板を貼り、 すきまには、 パウダー状皮膚保護剤 (プロケアーなど)を散布します。 接続チューブをバック内に納まるようにカットし、 バッグの先端にウロガードを接続します。 面板も漏れが多いと溶解するので、 2~ 3日に一度は交換と洗浄が必要です。
2. 発赤
原因 □ チューブの接触による刺激
原因 □ 外部ストッパーの接触による刺激 □ 外部ストッパーの締めすぎ
1. チューブ
2. 外部ストッパー
対策 ○ チューブと瘻孔の関係を垂直に保つ
対策 ○ 外部ストッパーと体表の距離を15mmに保つ ○ ウエハー状皮膚保護剤
18 19
TROUBLESHOOING
2. 発赤
原因 □ 消化液・栄養剤の漏れ 原因 □ 瘻孔感染
乾燥している発赤がある場合
注入毎にYパフが濡れている場合
ウエハー状皮膚保護剤を頻回に交換する必要がある
3. 漏れ 4. 硬結に伴う発赤
3. 漏れ
対策 ○ 漏れの対策を参照 (P.10~ P.13) 対策 ○ 医師へのコンサルト • 穿刺・切開排膿、 抗生剤投与
対策 ○ スキンケアの基本の徹底 ○ 洗浄後ふきとり、Yパフを挟む ○ ワセリン塗布
対策 ○ 洗浄後ふきとり、 ウエハー状皮膚保護剤
対策 ○ 洗浄後、 非アルコール性被膜剤 ○ 粉状皮膚保護剤 ○ 薬剤塗布 (亜鉛華単軟膏)
PEG回診当院では、 週1回、 難渋するスキントラブルや造設後のフォローのために、 PEG患者さんのベッドサイドへ伺う「PEG回診」を行っています。微温湯の入った霧吹きや“Yパフ”、各種軟膏や皮膚保護材などを「回診グッズ」として準備し、 カゴに入れて携帯します。 最近は、院内の栄養サポートチームの中のPEGチームとして多職種で対応し、栄養剤の種類や水分量の設定など、栄養管理にも目を向けています。
PEG回診風景 回診グッズ
20 21
Cさん (55歳) 女性
症例 (発赤)
TROUBLESHOOING CASE #1
原因 1. チューブ ■ チューブの接触による刺激
2. 外部ストッパー □ 外部ストッパーの接触による刺激 ■ 外部ストッパーの締めすぎ
3. 漏れ ■ 消化液・栄養剤の漏れ □ 大彎造設 ■ 姿勢保持が困難である ■ 便秘 ■ 胃蠕動低下 □ 唾液誤嚥によるむせ □ 人工呼吸器装着 ■ 円背・拘縮・側彎 ■ 外部ストッパーと体表の間に余裕がない ■ カテーテルが引っ張られている □ ふたを開けると栄養剤が噴き出す □ 栄養状態・全身状態悪化
• チューブ・バルーン型シリコーン製カテーテル╱ 22Fr
瘻孔長:2.0cm╱シャフト長:2.5cm• 投与カロリー:1,200kcal(液体)• 体重:25kg• BMI:13.7
Before 対策 ● 外部ストッパーを3.5cmに変更し、 体表との距離を15mmに保つ ● 3重に巻いていたティッシュこよりを取り除き、 体表と外部ストッパーとの間はYパフを挟み、 外部ストッパーを押し込み固定にする ● 排便コントロール ● 注入方法の確認 1. 注入前の減圧 2. 消化管運動促進薬(ガスモチン)の投与 3. 追加水の投与 4. 30分あける 5. 栄養剤の投与 ● 腹圧がかからないように体位の工夫(起こしすぎない) ● 瘻孔とカテーテルとの関係をスポンジを利用し垂直に保つ ● カテーテルが引っ張れないように固定の工夫をする ● 皮膚科にて感染兆候の有無を確認後、 処置を行う ● 毎日洗浄後、 亜鉛華単軟膏塗布
ティッシュこよりが3重に!
漏れ、 発赤は治癒した。
After
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TROUBLESHOOING
3. びらん・潰瘍
原因 □ チューブによる刺激 原因 □ 消化液、栄養剤の漏れ
原因 □ 外部ストッパーによる刺激
1. チューブ 3. 漏れ
2. 外部ストッパー
対策 ○ チューブと瘻孔との関係を垂直に保つ
びらん ○ 洗浄後、 ウエハー状または粉状皮膚保護剤
潰瘍 ○ 薬剤塗布 (ブクラデシンナトリウム軟膏)
対策 ○ 漏れの対策参照 (P.10~ P.13)
びらん ○ 洗浄後、 ウエハー状または粉状皮膚保護剤 ○ 薬剤塗布 (亜鉛華単軟膏)
潰瘍 ○ 薬剤塗布 (ブクラデシンナトリウム軟膏)
対策 ○ 外部ストッパーと体表の距離を15mmに保つ ○ ボタン型の場合:交換時にシャフト長の調整 ○ 体重コントロール
24 25
1. 外部ストッパーの固定 2. スポンジの利用
対策を2週間継続し、潰瘍治癒した。
Dさん (75歳) 男性
症例 (びらん・潰瘍)
TROUBLESHOOING CASE #1
原因 1. チューブ ■ チューブによる刺激
2. 外部ストッパー □ 外部ストッパーによる刺激
3. 漏れ □ 漏れ
• チューブ・バンパー型 シリコーン製 カテーテル╱ 20Fr
瘻孔長:2.5cm╱シャフト長:3.5cm• 投与カロリー:1,200kcal• 体重:49.1kg• BMI:16.4
Before
対策 ● 瘻孔長の確認と外部ストッパーの調整 (3.5→4.0→5.5cmへUPする) ● 外部ストッパーを押し込み固定にする ● 瘻孔とカテーテルとの関係をスポンジを利用して垂直に保つ ● カテーテルが引っ張れないように固定の工夫 ● 毎日洗浄後、 薬剤塗布 (アクトシン)
After
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TROUBLESHOOING
4. 肉芽
原因 □ 体表と外部ストッパーの距離が短い □ 瘻孔が斜め
原因 □ カテーテルの無理な引っ張り □ カテーテルと瘻孔周囲の摩擦が大きい □ 体動が激しい □ 人工呼吸器装着 □ 筋緊張が強い
対策 ○ 体表と外部ストッパーの距離を15mm以上に保つ ○ 肉芽の方向にカテーテルを倒す (注入時は肉芽の方向にカテーテルが倒れるように、 カテーテルの固定を行う) ○ Yパフやスポンジを使用し瘻孔とカテーテルとの関係を垂直に保つ ○ ボタン型の場合:交換時にシャフト長の調整
対策 ○ 全周性の肉芽の場合は外部ストッパ-を 押し込むように、 ガーゼやテープ固定を行う ○ カテーテルを触る場合は、 腹帯や衣類の工夫を行う
この程度の肉芽なら処置は不要!!肉芽対策として、 ①体表と外部ストッパーの距離の確認、 ②カテーテルの無理な引っ張りや瘻孔周囲の摩擦を避ける工夫、 ③薬剤処置を行います。ただし、 肉芽でも赤みを伴わない肉芽なら特別な処置はいらないのです。放っておくとすぐに悪化するので、 日々の観察と基本ケアが大切なのは言うまでもありません。
28 29
TROUBLESHOOING
4. 肉芽
このような場合は…赤み・浸出液を伴う肉芽
膿を伴う肉芽
処置を行っても難渋する場合
出血を伴う肉芽
対策 ○ 洗浄後、 ベタメタゾン塗布 (1週間)
対策 ○ 洗浄後、 消毒と抗生剤の投与
対策 ○ ポリウレタン製へ材質変更
対策 ○ 微温湯にて洗浄後、20%硝酸銀水で焼灼を行い、 生食で緩衝する ○ ベタメタゾン塗布 ( 1週間)
肉芽の焼灼治療肉芽は瘻孔に無理な引っ張りが生じることで出現します。浸出液の多い肉芽、出血を伴う肉芽はベタメタゾンを使用しても改善しません。このような場合に焼灼治療を行います。電気メスを使用し切除する方法もありますが、我々の施設では20%硝酸銀水で焼灼する方法を行っています。まずは蒸留水で創部をしっかり洗浄し、油脂を取り除きます。正常な皮膚の部分にワセリンを塗布し、カテーテルを引っ張り上げながら肉芽の状態を確認し、20%硝酸銀水を綿棒につけ、肉芽を瘻孔内に押し込むように焼灼します。処置後は生理食塩水で緩衝します。この処置を1週間毎に2-3回行うことで肉芽は消失します。
肉芽の焼灼治療当院では、入院・在宅・近隣施設の胃瘻患者約140名を管理しており、漏れ・肉芽などの問題症例に対応してきました。漏れの対策として、体位の工夫・排便コントロール・注入方法の確認・注入前の減圧・栄養剤の固形化を行っても、治癒に難渋する症例のカテーテルの材質はポリウレタン製が多かった一方、肉芽対策として、体表と外部ストッパーの距離の確認・カテーテルの無理な引っ張りや瘻孔周囲の摩擦を避ける工夫・薬剤処置を行っても、治癒に難渋するのはシリコーン製に多いことがわかりました。そこで、漏れで難渋する症例のカテーテルをポリウレタン製からシリコーン製へ、肉芽で難渋する症例のカテーテルをシリコーン製からポリウレタン製へ変更すると、それぞれスキントラブルが軽快しました。以上により、胃瘻患者の長期的な管理を行う上で、スキントラブルが難渋する場合は、カテーテルの材質変更も一つの対処法に成り得ると推測されました。
20%硝酸銀水で焼灼浸出液を伴う易出血の肉芽 生食で緩衝する
第26回日本静脈経腸栄養学会総会 一般演題 (O-332)より草津総合病院 山田 圭子
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Eさん (81歳) 男性
症例 (肉芽)
TROUBLESHOOING CASE #1
原因 ■ 体表と外部ストッパーの距離が短い □ 瘻孔が斜め □ カテーテルの無理な引っ張り ■ カテーテルと瘻孔周囲の摩擦が大きい ■ 体動が激しい □ 人工呼吸器装着 ■ 筋緊張が強い
• ボタン・バンパー型 シリコーン製 カテーテル╱ 24Fr・4.0cm
瘻孔長:3.0cm╱シャフト長:4.0cm• 投与カロリー:1,100kcal• 体重:43.3kg• BMI:15.2
Before 対策 (1) 全周性の肉芽の場合は外部ストッパ-を 押し込むように、 ガーゼとテープで固定を行う (ボタンの部分を押し込むようにする) (2) カテーテルを触る場合は、 腹帯を巻く (3) 微温湯にて洗浄後、20%硝酸銀水で焼灼を行い、 生食で緩衝する (4) (3)の処置後、 ベタメタゾン塗布(1週間) (5) (1)~(4)の処置を継続したが治癒に難渋したため、 交換時にポリウレタン製 カテーテル (20Fr・4.5cm)へ 材質・シャフト長の変更を行う (6) 交換後もケアは継続する
肉芽は消退し、 半年後の交換時も再発はみられなかった。After
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TROUBLESHOOING
5. 硬結
原因 □ 胃瘻周囲を触れると硬いものが触れる □ 膿瘍がある
1. 瘻孔感染
対策 ○ 医師へのコンサルト ○ 膿瘍に対しての処置 • 穿刺・切開排膿、 抗生剤投与
対策 ● 医師へのコンサルト ● 切開排膿、 抗生剤投与
穿刺
切開 治癒
Fさん (85歳) 男性
症例 (硬結)
TROUBLESHOOING CASE #1
• ボタン・バンパー型 ポリウレタン製 カテーテル╱ 20Fr 瘻孔長:3.0cm╱シャフト長:4.5cm• 完全経口食:1,100kcal• 体重:55.6kg• BMI:23.1
Before
原因 ■ 胃瘻周囲を触れると硬いのもが触れる ■ 膿瘍がある
After
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PEGスキンケア ポケットブック CHECK SHEETを活用しましょう!
CHECK SHEETの使用方法
スキントラブルの原因を確認し、該当する項目にチェックを入れます。
原 因
原 因 対 策
チェックシートは(http://www.cardinalhealth.jp/pegskincare)でダウンロードが可能です。
1. 漏れ
1. 漏れ
1. 体位による漏れ■ 大彎造設□ 姿勢保持が困難である
チェックを入れた原因の右側の「対策」を行うことで、スキントラブルが改善していきます。行った「対策」には○にチェックを入れます。
対 策
1. 体位による漏れ■ 大彎造設□ 姿勢保持が困難である
● ベットの30度以上のギャッチアップは避ける(起こしすぎない)○ 姿勢保持の工夫(右セミファーラー位)○ 自立の患者の場合、 注入後30分は臥位姿勢をとる
● ベットの30度以上のギャッチアップは避ける(起こしすぎない)○ 姿勢保持の工夫(右セミファーラー位)○ 自立の患者の場合、 注入後30分は臥位姿勢をとる
2. 腹圧上昇□ 便秘
■ 胃蠕動低下
□ 唾液誤嚥によるむせ□ 人工呼吸器装着
□ 円背・拘縮・側彎
○ 排便コントロール 水分の増量・水溶性食物繊維やオリゴ糖飲用の投与・緩下剤・腹部マッサージ● 注入方法の確認 1. 注入前の減圧 2. 消化管運動促進薬の投与 3. 追加水の投与 4. 30分あける 5. 栄養剤の投与○ 注入前の口腔ケア・口腔内吸引の徹底○ バッキングを防ぐための人工呼吸器の設定確認○ 注入前の減圧○ 追加水注入後30分あけて栄養剤投与○ 外部ストッパーの押し込み固定○ 腹圧がかからないように体位の工夫(起こしすぎない)○ 注入前の減圧○ 追加水注入後30分あけて栄養剤投与
PEG SKIN CARE
チューブ管理
チューブの汚染を軽減させる方法として“PDNブラシ”での洗浄と “酢ロック”があります。酢ロックは、白湯のフラッシュ後に10倍に希釈した酢水を充填する方法です。チューブ型の場合は、フィーディングアダプターに薬剤や栄養剤が詰まりやすいため、取り外して洗浄しましょう。
シャフト内は、 “赤ちゃん綿棒”で汚れを落とします。注入終了毎に接続チューブは、注入終了毎に外し、 洗剤で栄養剤の汚れをしっかり落とします。チューブをもむように洗う用手法とPDNブラシを使用する方法があります。洗浄後は、0.01%次亜塩素酸ナトリウムに1時間浸漬させ、水洗せずに乾燥させて繰り返し使用します。匂いが気になる方は水洗してもかまいませんが、その際には十分な乾燥が必要です。(次亜塩素酸ナトリウムに浸漬後、水洗しなくても消毒成分は栄養剤に含まれるたんぱく質や脂質などの有機物と反応すると分解され、ごく微量の食塩に変化すると言われています。)
チューブ型
ボタン型
薬剤や栄養剤によるチューブの閉塞やチューブ内の汚染を引き起こさないように日頃のケアが必要です。薬剤による閉塞を予防する為には、栄養剤注入前の投与が良いでしょう。薬剤注入後や栄養剤注入後は白湯20mlでフラッシュすることが必要です。この時、少量ずつ小刻みにフラッシュすることをお勧めしています。
チューブ管理をマスターしましょう!
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